日本中の人が、同じものを観ていた時代はとっくに終わっている。
昔は日本中の子供からじいちゃんばあちゃんまでが、力道山のことを知っていた。
自分が学生の頃でもまだ、クラスのみんながMステを観て、音楽ジャンルの細分化は既に始まってはいたが若者に支持されているミュージシャンやバンド、もしくは俳優、好きか嫌いかは別にしてみんなが知っているものはだいたいみんな知っていた。
やはりスマホの登場が、時代を全く新しいものにした。
家族でテレビのチャンネル争奪戦をする必要はもはやなくなった。
自分の部屋で漫画を読むように、各々がスマホで自分の好きな音楽を聴いたり、番組を観る。
大学生のある人はジ・アルフィーを好み、ある人はK-POPにはまり、ある人はヨルシカを聴く。
それぞれ、隣の人が聴いている音楽のことは全く知らない。
テレビドラマも昔はみんな月9を観て話題にしたが、今はその必要もない。つまり”スター”がいるようでいない。どの業界にも。
今おしなべてバンドのライブといえばフェス型になっていることからも分かるように、個々のバンドに力が宿らない。そもそも論の話をすると、今の殆どのバンドに力なんて初めから無いが。
話を元に戻すが、今や興味を向けることの出来る対象が知りつくせ無いほど他ジャンルに及び、そこにまた大勢のインフルエンサーが存在するようになったため、構造的に以前のように特定のバンドや人物に大勢のファンが集中する事は起こりえない。
これは良い世の中なのだろうか。90年代から2000年代初頭に青春を過ごしてしまった者からすると、寂しい。
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