普通ロックバンドなら意図的に、また効果的にビートを変えない限り基本的には1曲は一定のリズムで完結する。だがクラシックは違う。テンポが明確に示されていない譜も珍しくない。
例えば”Largo”(ラルゴ)なら「とても緩やかに」。”Andante”(アンダンテ)は「歩く速さで」、といった具合だ。この様な速度記号が20種類近くある。改めて眺めると昔の人はメトロノームがない時代だったからこの様な表現を用いていたのか、あえて表現に重点を置くためにこう表現していたのか、とても勉強してみたくなる。
こうしたところに形式美と言われるクラシックでも指揮者が変われば全く別モノになる、聴き方の面白さがあるなと感じる。ますますクラシックと言うものに興味が沸く。
話がそれたが、僕たち”よる”にとってのテンポの捉え方というのは、バンドとこういったクラシックの間くらいにあたるのだろう。今日「危ない前提」のピアノを録り直した。テンポを見直したためだ。
例えば自分たちのライブ音源を聴いていると、1曲の中でもAメロ、サビ、ソロそれぞれで違ったテンポで演奏していると言う事がよくある。これは途中から走り始めてしまっているといった理由ではなく、表現するが故だ。
実際に測ってみると、最大でBPM6違っているところもあった。しかしライブ録音を聴いている限りは何の違和感もない。寧ろ正しい。
こういう曲をレコーディングする時に最初から最後まで同じBPMで録ると、場所によってはとても早く感じたりする。そういった際には慎重にテンポを検証し、パートに分けてBPMを設定していく必要がある。そういった作業を今日「危ない前提」にて行った。厳密に言うとBPMの検証は康成によって終えられていて、そのテンポごとにピアノのレコーディングを行った。
自分たちはドラムやベースがいないためアレンジの際にクラシックの楽曲構成をよく参考にするが、逆に楽器が違っていてもグループ構成の性質が似ていると、テンポに対する性質も自ずとクラシックの特徴に近づくのかもしれない。
コメント