2017年夏、康成と僕の2人で岩手県の松尾鉱山まで車で、それも全て下道で行ってきた。この時はまだ自分たちのMVはなく、どの曲にすべきか映像のイメージ込みで考えていた時に、自分たちのオリジナル曲「手」を松尾鉱山で撮影するのは良いんじゃないだろうかとなったからだ。
「手」のMVのイメージというのは、ドローンを使ったもの。そういう既にあるyoutube上の動画に「手」を重ねて聴いてみると、とても相性が良い。そんな映像ならその映像だけで圧倒的な力を持つ事は簡単に想像することができたし、それならば時折自分たちが松尾鉱山内にふとカットインして来ても、”お前ら誰やねん”へ引っ張られる力さえも緩衝出来るのではないかと考えたからだ。ただ僕たちはドローンを持ち合わせてはいない。そしてカメラマンには当てがあった。
あれは2016年の1月頃だったのだろうか。康成とtomoco.Kが、2人でライブに出演しに行ってくれた時に出会った方で(当時は僕が不参加のライブも時々あった)、2人の演奏する映像を趣味の一環で撮影されていた。とても温かみのある、その人の人間性がよく現れていると感じる映像だった。
松尾鉱山へ下見に行っていた当時、その方がドローンにも手を伸ばし始めたという話を聞き、ちょうどいいという訳だ。しかしこの方は大変な”芸術家”であった。連絡を取り始めたものの「精神面や体調が優れない」と言ったような話があり、最終的には連絡は返って来なくなってしまった。こちらから催促するような状況でもなく、結局岩手県とそこまでのルートは早い時期から冬入りし松尾鉱山での撮影もその年は出来なくなった。
その年の残りと翌年の初めの頃は月に1~2回のペースでライブもしており、結局この年も動画作成には着手出来ずに終えることになったのだが、それでも別に状況はネガティブな訳ではないと考えていた。僕たちは、映像作品として「自分たちだけで表現する方法」を模索し始めていた。
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