先日、アレンジはやはり楽曲が”正しく成り立っていること”が大前提だろうという結論に至ったが、それについてもう少し考えてみる。
例えばこれまで世に出されたいろんな製品で、良い意味で「これただやりたかっただけやん」というものもたくさんある。今から見るとよくこんなもの世に出したな、というヤツ。
いつも車で例に出すが、例えばトヨタの”セラ”
バブルの遺産とか迷車などと言われている車である。普通車にガルウイング!しかも天井までガラス張りなので、夏場はエアコンが無ければ死んでしまう。
個人的には本気で買おうと思っていたが、ガルウイングが標準装備された車は以降発売されていない。因みにタマ数が少ないのも助けてだろうが相場は100万前後。
ベンツCクラスのいわゆる”涙目”。2代目でこの目の形になり、続く3代目4代目(現行型)は元の落ち着いたデザインに戻る。相場は20万代から手に入る感じで価値は上がっていない。
どれも斬新だったり、当時は”新しい”と感じさせられるデザインだった。
メガドライブと言うゲーム機は聞いたことのある人も多いだろうが、ここまでビルドアップ可能だったと言うのは知っているだろうか?
プレイステーションが丁度世に出始めたころに、セガが技術の結晶として投じたゲーム機だった。結果は明らか。
では逆に、次はこんな視点から。
左は1960年代にデザインされたもの。右はご存知ipod。appleの製品がBRAUN社のデザインと非常によく似ているのは有名だ。
これをデザインした、ディーター・ラムスの”良いデザインの10箇条”というのがあったので、これを音楽家の視点で書いていってみる。
①革新的であること
技術の革新とともに、新しいデザイン(表現)へのチャンスを常に見据える。
②実用的であること
音楽で言えば、人がCDを買ったり曲をダウンロードするのは、”聴くため”にするのだ。
不要なものは削ぎ落とす。しかし機能面だけでなく、心理的・美的な面でも配慮は欠かさない。
③美しいこと
丁寧に作られているか。音楽は聴く人の生活の質にも影響を与える。
④説明不要、わかりやすいこと
その曲自身だけで全てを語れているか?
⑤でしゃばらないこと
デザインはニュートラルで、控えめであるべき。
聴く人の個性を溶け込ませる余白も必要。
⑥誠実であること
良いデザイン(作曲、編曲)とは、実際以上に革新的、強力、有用に見せたりはしない。
⑦長持ちすること
良いデザインは、流行から距離を置く。そのため古くなることもない。
流行のデザインとは異なり、今日のような使い捨て社会であっても長く使われ続ける。
⑧細部まで完璧であること
曖昧さを残してはならない。細心さ、正確さは、音源を買ってくれた人への誠意を示す。
⑨環境にやさしくあること
※これに関しては資源や環境の話なのでちょっと置き換えが難しい。
⑩可能な限りデザインしないこと
「Less, but better」~より少なく、しかもより良く。
本質的な部分に集中するということ。不要で過剰なデザイン(編曲)から開放させる。
純粋で簡素。常にここに立ち返る。
こりゃホントにプロだ、スゴいと思う。そして全て音楽にも当てはめることが出来る。
では音楽の場合、ここで見てきたようなコケた例、成功した例と言うのはあるか?
コケた例とは、今見て「そりゃどう考えてもあかんよ笑」と言うパターン。うーん、何故か音楽で言うの難しいね。。音楽は目には見えないので、それは”あったけれど消えた”と言う事なのか。歌詞の面ではあるけれど、タイマーズとか。
(自分があまり知っていないだけだろう)
何かの記事で山下達郎さんが言ってた。昔の曲には、(今流行っている曲と比べて)いい曲が多いですねって話題に対して、
「いや昔にも良くない曲は沢山ありましたよ。ただ残っていないだけでしょう。」と。
2ndアルバムのジンクスと言うものを聞いたことがある。それは、ファーストで派手にデビューを飾ったバンドでも2ndでコケると言うもの。良い例がBON JOVIだと思う。
このアルバムの楽曲はもちろん全て、正しく王道ロックをやっている。音全体のバランスだっておかしな事もないし、ギターリフもガッツリ入り景気の良いコーラスもちゃんと入ってる。このアルバムの印象を簡潔に言うと、何にも記憶に残らない。2回聴こうと思わない。それに尽きる。BON JOVIらしい曲がないとも思う。
音楽の難しいところは、そういう所かもしれない。
また、音楽は時代とともに色褪せるスピードもとても早いように感じる。ボーカルの声、曲中に出てくるサウンド。昭和っぽいな。あー90年代だな。小室さん出てき始めた頃だな。エレクトロポップ流行ったな。サウンドの代名詞にもなった、EDMってのあったな。
そう考えると、やはりクラシックは大変優れている。何なんだろうね。
脈絡のないただの羅列になってきているので、今回もこの辺でおしまいにしよう。。
コメント
[…] 以前の記事の一部分で、デザイナーのディーター・ラムスによる良いデザインの10箇条に触れた。例えばこれだ。 […]