youtubeにMVを投稿するに至るまで⑧~現在アップされている動画へ焦点が合い始める

「氷」のMVは出演してもらうモデルが見つからずに頓挫。「手」のMVはカメラマンが音信不通になり頓挫。それらの楽曲と映像のイメージにこだわり続け、イメージに合ったモデルが見つかるまで探しても良いし、カメラマンも自分たちの需要にマッチした方は探せばいるだろう。
しかしよく考えればモデルなんてリスクだらけな訳で、仮にベストな女の子が見つかって作品が作れたとしても、何かの事情で下げてくれと言われればおしまい。じゃあ知り合いや家族の中からお願いしようかと言うとなかなかイメージの通りにはいかなかったり。カメラマンにしてもいざ探すとなるとやはりそれなりの労力だし、岩手まで来てもらえる様な人でなければならず、自分たちの予算も限られているし。
またシーズン的にも「氷」の撮影場所に使う京丹後の上世屋は2月、「手」を撮りたい松尾鉱山も往復のことも考えると夏限定だ。次のシーズンまた撮れませんでしたでは、いったいいつになるのか分かったもんじゃない。

そうなってくると、これらの2曲はむしろ映像ありきで考えているため、撮れないのならMVの候補からは必然的に外れる。同時に、そういった季節や人に大きく依存しないやり方を考えるようになっていく。


自分たちのオリジナル曲はどれもこれもメッセージ性がかなり強い。もしも、なんとなくおしゃれな言葉の寄せ集めのような曲なのであれば、抽象的な映像をあえてチープにつなぎ合わせたような作品でも良いのかもしれない。けれど自分たちの曲は、それぞれ良くも悪くも”映像としてのイメージ”がしっかりと持ててしまう。なのでそんなイメージ込みで新たにMVにする為の曲を3人で選考していても、そう言う理由で初めの段階で落とされていく曲が結構たくさんあった。「この曲のMVは自分たちでは無理」という事だ。

またそれとは別に、「ライブ演奏」として見せるやり方も改めて案として浮上してくる。そもそもMVをもつ目的とはなんぞやと。それは自分たちが出先で出会ったいろんな人達に自分たちはこんな事をしている、と言うことが伝わって欲しいと言う効果も考えていた。名刺替わりだ。別に無名の自分たちの映像を心待ちにしてくれている人達が、そんなに大勢いる訳でもない。そこを勘違いして「自分たちのMV作ろうぜ」的なテンションで映像を作ろうと言っているわけでもなかったから。
僕たちは”演奏家”である。楽曲は”実演”出来なければならない。これらは初めから、自分たちがとても重きを置いてきた事である。


自分たちのカラーをしっかりと効率よく示すことが出来る、最低限の選曲。それらを、ライブ映像としてみせる。そういう方向性に固まっていき、そしてまた選曲について何度も何度も話を重ね、「壁画」「危ない前提」「飛行機雲」「眼」「レター」と言う5曲が選ばれた。
これまで同じ考え方で行ってきた選曲でも、何度も振り出しに戻し、練り直してきた。しかし最終的に選び抜いたこの5曲は、もう練り直しをする事はなかった。ロケーションは、僕たちが時々使っている廃校を考えていた。スタジオなどを借りて撮影しようかという案もあったが自分たちが演奏する場所としてのイメージもあったし、何よりも”時間の制限”と言うものに邪魔される事を一番危惧してその廃校を選んだ。
そこもいち施設な以上何かの事情で使うことが出来なくなるという事も可能性として当然あったが、もうそのような障壁に立ち塞がれることはなかった。

もう一度年を越した2018年の梅雨の時期、映像のイメージを決め、カメラや照明の用意を整え、ようやく映像作品を作り始めることが出来るまでになった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました