ベトナム最大のフェス「QUEST」がなくなった理由

今のバンドとは関係のない話だが、2015年11月、あるキッカケで僕は「TATAMI」というユニットでベトナムで開催された「QUEST」と言う野外フェスにアーティストとして参加した。TATAMIではバンドスタイルではなく、ラップトップ2台を使用し打ち込みでテクノなどをやった。他に参加していたアーティストも基本的にはDJやトラックメイカーが多く、バンドも何組かはいた。


まずQUESTについて話をしておくと、このフェスは毎年11月にハノイ近郊のキャンプ場で開催されており、僕と同じくらいかもっと若い人達が主催していた。今はどうか分からないが、当時でもまだまだクラブカルチャーなどは黎明期であり、新しいものがどんどん若い人たちの手で作り上げられていっている時期だった。「クラブへ遊びに行きたい」「フェスへ行きたい」と思ったら、無いので全部自分たちで作る。逆に言えば全てが未開拓だったから、やる気があれば何でも出来た。

QUESTもまさにそんなフェスで、ステージも何もかも全てDIY。僕たちも現地に到着してから少し手伝ったりした。雰囲気は、これがレイヴか!という感じだ。
アーティストは世界中から集まり、フェスとしても急成長を遂げていた。日本のサイトでも「アジアで注目のフェス」的な特集で堂々と紹介されていたくらいだ。基本的に24時間どこかで音が出ていて、ある人は酒を飲み、ある人はファイヤーダンスをしているし、テントで休んだり、湖で遊んでいる外国人もいたりした。めちゃくちゃ楽しかったしいろんな学びがあった。


※iphoneにて撮影




しかし、そんなQUESTが突如終焉を迎えた。確か最後に開催できなかった年は2018年だったはずだが、その年の開催直前、会場に警察がやってきて、全ての電気を止めたと聞いた。理由は知らない。
勿論アーティストも全員会場に到着していた。だがそんな事は関係なく、1年間資金と時間をつぎ込んで準備をしてきたイベントは突如消し飛ばされ、回復は不可能。見る限りその後もう開催はされていない。


こういった事を見ると、日本は恵まれている。当たり前過ぎて気付いていないし、別に気付く必要も無いのかもしれないけれど、こうやって可能性の限り自由に活動できるという事は本当に恵まれている。時代によっては、または国によっては弾圧もされて来た。けれど少なくとも今の日本ではそんな事はない。これは誰かが勝ち取ってくれた権利でもある。
やれる事は全てやらないと、そういった大きな力や時代に屈してきた人達に申し訳が立たないでしょう。



最後に。QUESTは本当に良かった。ホントに残念。主催の彼らが誰よりも悔しいだろうけれど。けれど彼らなら絶対に這い上がってくると思っている。

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